物言わぬアイツ [創作,ポエム,詩]
静まる夜の居間に響く古時計
虫の声は聴こえていたのか
掘りごたつに火は灯っていたのか
まるで覚えていない
アイツはしつこい僕から
逃げるでもなく
応戦するわけでもなく
ただ少し離れたところまで移動し
そして体をこちらに向き直し座ってこちらを見た
溜め息が聞こえてきそうな
そんな口元だった
静かにしておいてくれよ
寝かせてくれよ
そんな眼差しだった
アイツのいた座布団をポンポン叩いても戻ってこないから
机の向こう側に隠れてアイツを見た
アイツは少しこっちを見ていたが
そのうちノソノソと座布団まで戻ってゆっくりと丸くなった
僕はアイツが何もかもお見通しなのかと一瞬驚いた
今度は僕がアイツがこっちを見ていた場所へ行って
アイツと同じように見てやったらニコっと微笑んだ
【後記】
子供の頃に家で飼っていた犬
悲しみを恐れて亡くなってからもう何年も考えないようにしていましたが
なぜか最近はあの頃のことが思い出されます
虫の声は聴こえていたのか
掘りごたつに火は灯っていたのか
まるで覚えていない
アイツはしつこい僕から
逃げるでもなく
応戦するわけでもなく
ただ少し離れたところまで移動し
そして体をこちらに向き直し座ってこちらを見た
溜め息が聞こえてきそうな
そんな口元だった
静かにしておいてくれよ
寝かせてくれよ
そんな眼差しだった
アイツのいた座布団をポンポン叩いても戻ってこないから
机の向こう側に隠れてアイツを見た
アイツは少しこっちを見ていたが
そのうちノソノソと座布団まで戻ってゆっくりと丸くなった
僕はアイツが何もかもお見通しなのかと一瞬驚いた
今度は僕がアイツがこっちを見ていた場所へ行って
アイツと同じように見てやったらニコっと微笑んだ
【後記】
子供の頃に家で飼っていた犬
悲しみを恐れて亡くなってからもう何年も考えないようにしていましたが
なぜか最近はあの頃のことが思い出されます
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